脳の糖処理がアルツハイマー病リスクにどう影響するか

高血糖・インスリン抵抗性はアストロサイト機能を損なうため注意

目次

グリコーゲンとは、何?

グリコーゲン(glycogen)は、**ブドウ糖(グルコース)をたくさんつなげた「多糖類」**です。

動物や人間にとっては、いわば「ブドウ糖の貯金箱」のような存在です。

✅ 主な特徴

■構造:グルコースが枝分かれしながら多数つながった構造。

■貯蔵場所:

1.肝臓(主に血糖値を一定に保つため)

2.筋肉(運動時のエネルギー源)

3.脳や神経細胞にも微量に存在

脳におけるグリコーゲンの役割

脳では、グリコーゲンは主に**アストロサイト(神経を支える細胞)**に存在しています。

神経細胞(ニューロン)は自分でグリコーゲンを持てませんが、アストロサイトがブドウ糖を貯蔵し、必要なときにエネルギーを供給します。

🔹 主な働き

1.一時的なエネルギー供給(特に低血糖時や強い神経活動時)

2.記憶や学習のサポート(長期増強LTPに関与) 3.脳の興奮状態やストレス時の保護

グリコーゲンの分解異常と脳の病的変化

グリコーゲンを分解する酵素がうまく働かないと、グリコーゲンが異常に蓄積します。

これが脳内でも起こると、神経細胞やアストロサイトの機能が障害され、神経変性疾患のような症状が現れます。

近年の神経科学では、**「記憶の維持や形成にグリコーゲン代謝が関わっている」**ことが明らかになってきています。

特に、アストロサイト(星状膠細胞)がその中心的な役割を果たしていることが重要です。

 1. アストロサイトとグリコーゲンの基礎

脳の細胞には大きく分けて2種類あります:

🧬 ニューロン(神経細胞)情報を電気信号として伝える

🌟 アストロサイト(星状膠細胞)神経細胞を栄養面・環境面で支えるサポーター

そして、グリコーゲンは脳内ではほぼ アストロサイトだけ に貯蔵されています。

ニューロン自身はグリコーゲンを貯めることができません。

2. 記憶形成時のエネルギー需要と「乳酸シャトル」

私たちが何かを記憶するとき(学習や情報の定着時)、シナプスと呼ばれる神経の接続部位で活発な電気活動が起こります。

このとき大量のエネルギー(ATP)が必要です。

1. シナプスが活動 → ニューロンの活動が急上昇

2. アストロサイトがグリコーゲンを分解 → 乳酸(lactate) を作る

3. 乳酸が ニューロンに輸送 される(これが「アストロサイト・ニューロン乳酸シャトル」)

4. ニューロンは乳酸をエネルギー源として使い、シナプスの強化(LTP) が起こる

5. 結果として記憶が形成・固定される

 📝 ポイント:乳酸は単なる代謝産物ではなく、「記憶を支える燃料」 です。

この「乳酸が脳の記憶エネルギー源になる」ことは、 かつての「脳はブドウ糖しか使えない」という常識を覆した発見です。

乳酸は単なる燃料ではなく、**NMDA受容体(記憶形成に関わる受容体)**の活性化を助けるシグナル分子でもあります。

乳酸供給が途絶えると、LTPも消失します。

🧠つまり、アストロサイトが「乳酸ポンプ」として働くことが、記憶そのものの成立に不可欠なのです。

3. 長期増強(LTP)とグリコーゲン代謝

LTP(Long-Term Potentiation:長期増強)とは、

「あるシナプスを繰り返し刺激することで、そのシナプスの伝達効率が長く高まる現象」です。

これは記憶の神経基盤とされています。

グリコーゲン 乳酸 ニューロン ATP LTP促進

実験では、グリコーゲン分解を阻害すると記憶形成が阻害されることが確認されています。

4. アストロサイト機能の低下とアルツハイマー病リスク

アルツハイマー病(AD)では、神経細胞の死やシナプス障害が起こりますが、実はそれ以前に、アストロサイトの代謝機能の低下が始まっていると考えられています。

🧬 関連メカニズム

アストロサイトの変化 結果

1.グリコーゲン分解能力の低下 ニューロンへの乳酸供給が減少

2.乳酸シャトルの障害 シナプス活動維持が困難になる

3.エネルギー不足 記憶形成障害、認知機能低下

4.さらに進行 アミロイドβの蓄積 → 神経細胞死へ

💡つまり、

「記憶力が落ちる 乳酸シャトルの不全 シナプスの弱体化 アルツハイマーのリスク上昇」

という悪循環が起こる可能性があります。

5. 予防・保護の視点(研究段階を含む)

🥦 生活習慣(有酸素運動・十分な睡眠)はアストロサイト代謝を活性化

🧠 ケトン体(糖質の摂取を控える・良質の油を摂ることで増えます。)や

乳酸が代替エネルギーとして注目されている

🧪 一部の研究では、乳酸供給を増やすと記憶力が改善する報告も

🚫 高血糖・インスリン抵抗性はアストロサイト機能を損なうため注意

まとめ

項目 内容

グリコーゲンの貯蔵場所 脳では主にアストロサイト

記憶形成との関係 乳酸シャトルによりニューロンにエネルギー供給 → LTP促進

アルツハイマーとの関連 グリコーゲン代謝低下 → シナプス障害 → 認知症リスク上昇

予防の鍵 代謝活性を保つ生活習慣(運動・睡眠・代謝改善)

アストロサイト活性を高める生活習慣・栄養

🌿 アストロサイトの活性を高める生活習慣と栄養

🏃‍♂️ 1. 有酸素運動

運動中は脳血流が増え、アストロサイトの代謝が促進されます。

特に「軽めのジョギング」や「早歩き」などの中等度運動が最も効果的。

運動により、乳酸トランスポーターMCT1/2の発現が増加。

→ ニューロンへの乳酸供給能力が高まります。

💬 目安:週に3〜5回、20〜30分程度の有酸素運動で効果が確認されています。

😴 2. 睡眠の質の向上

睡眠中、アストロサイトは「脳の掃除屋」としても働き、

グリアリンパ系(glymphatic system)を通じて老廃物を排出。

同時に、グリコーゲンを再蓄積します。

→ 「よく寝ると頭がスッキリする」のは、脳のエネルギー貯蔵がリセットされるため。

💬 寝不足が続くと、アストロサイトのグリコーゲン合成酵素(GS)が低下します。

🍳 3. 食事と栄養

✅ アストロサイト活性を支える栄養素

栄養素 働き 主な食品

■オメガ3脂肪酸(DHA, EPA) シナプス膜の柔軟性を高める・アストロサイト代謝促進

青魚、亜麻仁油

■乳酸・発酵食品  乳酸代謝を促す  豆乳ヨーグルト、味噌、納豆

■ケトン体(β-ヒドロキシ酪酸)  ブドウ糖代替エネルギー 糖質制限食、MCTオイル、ナッツ

■アントシアニン  神経炎症抑制  ブルーベリー、紫芋

■マグネシウム  ATP合成・神経安定化  海藻、ナッツ、豆類

■タウリン  アストロサイト機能の安定化  イカ、タコ、貝類

🧘‍♀️ 4. ストレス管理

慢性的なストレスはコルチゾールを上げ、

アストロサイトのグリコーゲン合成を抑制します。

→ 深呼吸、瞑想、湯船入浴などで副交感神経を優位に保つことが大切です。

☀️ 5. 日光とサーカディアンリズム

朝日を浴びることで「アストロサイトの時計遺伝子(BMAL1)」が整い、

グリコーゲン代謝のリズムが安定します。

光が不足すると、アストロサイト機能が低下し、記憶力にも悪影響。

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