永寿屋 「漢方健康講座」

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「心機能を助ける漢方薬」【心臓と漢方8】

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「「心機能を助ける漢方薬」【心臓と漢方8】」

主な内容

心不全と漢方薬:心臓の機能を助けるアプローチ

この動画では、心不全や心機能に問題が起きた際の漢方薬について解説しています。

基本となる漢方薬「通導散合桂苓丸(つうどうさんごうけいれいがん)」

鬱血性の心不全、先天性の心疾患、心臓弁膜症、狭心症、心筋梗塞、高血圧などから発生する心不全に用いられます。心機能低下により体内に十分な血液が循環しなくなることで起こる呼吸困難、咳、尿が出にくい、むくみ、倦怠感などの症状を改善します。この薬は、血液の流れが悪くなり古い血液が処理できない状態である「瘀血(おけつ)」を改善する2つの薬を合わせたものです。肝臓の鬱血(右心系の問題)や肺の鬱血(左心系の問題)など、全身の臓器の鬱血や腫れを改善します。どんな心臓病であっても、瘀血の状態を改善し血液の流れを順調にすることが治療の基本となります。この動画では、今後この「通導散合桂苓丸(つうどうさんごうけいれいがん)」を「TK」と略して説明します。

症状に応じた漢方薬の組み合わせ

  • 体力がない、胃腸の働きが弱い場合
    TKに「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」を加えて服用すると効果が現れやすいです。
  • 左心系の問題(肺への影響)
    呼吸困難、寝ていると苦しくなる(起座呼吸)、喘鳴、多量の痰、横になると咳が強くなるなどの症状がある場合、TKに「茯苓杏仁甘草湯(ぶくりょうきょうにんかんぞうとう)」を使います。歩くと呼吸困難や息切れがする、階段を上がる時や若い人と一緒に歩くと息切れがする場合(吸うのがうまくできない呼吸困難)は、TKに「苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)」と「八味地黄丸(はちみじおうがん)」を一緒に使います。寝ている時にゼーゼーと音がする場合もこの組み合わせが有効です。八味地黄丸の代わりに「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」が使える場合もあります。漢方では、呼吸困難の原因が「吸うのがうまくできない」場合は腎に、「吐くのがうまくできない」場合は肺に問題があると考えます。
  • 右心系の問題(静脈血の鬱滞)
    全身を巡ってきた静脈血が心臓に戻る際に滞り、肝臓や足などにむくみや腫れが出る場合、TKに「九檳呉茯湯(きゅうびんごぶくとう)」を使います。これは日本人が作り出した有名な薬です。

漢方薬服用の注意点

TKは少量から始め、徐々に量を増やしてその人に合った量を見つけることが大切です。いきなり通常の量を服用するのは避けてください。軽い心不全であれば、漢方薬で元の状態に戻ることもあります。入院や手術が必要になる前に、できるだけ早く対処することが大切です。

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