中年患者へのスタチン使用、白内障リスク上昇「生活習慣病薬の副作用」

近年、スタチン(抗コレステロール薬)を服用することで、副作用として、白内障(眼球のレンズが白く濁る病気)の発症に影響を及ぼす可能性があるという報告がなされています。

そこで、日本人におけるスタチン使用と白内障の発症との関連性について、日本大学薬学部のKazuhiro Kawabe氏らが検討し、中年層でのスタチン使用が白内障リスクを約1.5倍高めることを明らかにしました。(Scientific Reports誌2025年4月19日号掲載の報告。)

 研究者の皆さんは、日本人の健康診断および保険請求データベースの2005年1月1日~2017年12月31日に記録されたデータを用いて後ろ向きコホート研究を実施しました。健康診断データの脂質異常症117万8,560例のうち72万4,200例をスタチン非使用群とスタチン使用群(新規使用)に分類し、未調整/年齢・性別による調整/多変量調整のハザード比(HR)を算出してCox比例ハザード回帰分析を行いました。

主要評価項目はスタチンの使用と白内障リスクの関連性を評価したものです。

副次評価項目として、使用されたスタチンの力価や特徴、スタチンごとの白内障リスクを評価しました。

 主な結果は以下のとおりです。

・集団の平均年齢は、スタチン使用群が51.7歳、スタチン非使用群が45.6歳だった。
・平均追跡期間は使用群で1.3年、非使用群で3.2年だった。
・スタチン非使用群と比較し、スタチン使用群では白内障の発症リスク上昇との関連が認められた(調整HR:1.56、95%信頼区間:1.43~1.70)。
・白内障の粗発生率はスタチン非使用群で1,000人年当たり2.4だったのに対し、スタチン使用群では低力価スタチンの場合は8.8、高力価スタチンの場合は8.7であった。
・白内障発症リスクをスタチンの力価でみると、高力価スタチンはHR:1.61(同:1.44~1.79)、低力価スタチンはHR:1.48(同:1.30~1.70)と、高力価スタチンのほうが発症リスクはやや高かった。
・脂溶性スタチンおよび水溶性スタチンのHRは、それぞれ1.56(同:1.39~1.75)と1.56(同:1.38~1.75)であった。
・フルバスタチンとシンバスタチンを除くすべてのスタチン使用群において、白内障発症リスクが上昇した(アトルバスタチン:1.73[同:1.48~2.03]、ロスバスタチン:1.52[同:1.32~1.74]、ピタバスタチン:1.35[同:1.12~1.64]、プラバスタチン:1.67[同:1.36~2.06])。

スタチンの使用が認知症の予防に役立つという研究成果もあり、スタチンの評価は賛否が交錯しています。

以前より、骨格筋である横紋筋が解けていく副作用や、やる気が落ちる、元気が出ない、めまいが起きるなどの副作用の報告や、実際にそういう患者さんがいましたが、白内障発生が1.5倍になるという報告は、新しい報告なので、会員の皆様にシェアさせて頂きます。

原著論文はこちら

Kawabe K, et al. Sci Rep. 2025;15:13594.

参考文献・参考サイトはこちら

1) Desai CS, et al. BMJ. 2014;349:g3743.

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