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年齢を重ねるとだれもが迎える更年期。
個人差はあるものの、この時期は多くの人が心身の不調に悩まされます。
一般的に「更年期」とは、閉経を挟んだ前後5年(計10年)のことを指します。
個人差はありますが、平均的な「閉経年齢」は50歳なので「45歳~55歳」くらいが更年期になることが多いようです。*閉経:月経が来ない状態が12ヶ月以上続いたときに判断します。
この時期になると卵巣の機能が低下し、女性ホルモンの分泌が急激に減少します。
その結果、体内のホルモンバランスが乱れて自律神経の調節が上手く出来なくなり、月経の乱れ、のぼせ(ホットフラッシュ)、発汗、動悸、めまい、頭痛、肩こり、だるさ、疲労、イライラ、不眠、憂鬱、物忘れ、不安、神経質などの不快な症状が75~80%の女性に多かれ少なかれ現れます。
これらの症状は脳が卵巣に「女性ホルモンを出して!」と指令を出しているにも関わらず、卵巣の衰えによりその要求に応えられないために自律神経が乱れることから起こると考えられています。
そして、「更年期障害」とは、更年期症状がひどくなり、日常生活に支障をきたす場合のことをいいます。
エストロゲンで、これら閉経期の症状や病気の治療、予防をする方法もありますが、外から注入したホルモンでは子宮内膜ガンの発病率が高くなり、乳がんとの関連性も指摘されています。
原因がはっきりしないこうした症状の改善は、漢方の最も得意とするところです。
更年期の不調は「腎」の衰えから
漢方では五臓の「腎(じん)」がホルモン分泌と密接な関係があり、更年期の症状は
主に「腎(じん)」の衰えによって起こると考えます。
腎は、生命エネルギーの源「精(せい)」を蓄え、生殖や成長・発育と深く関わる臓器。そのため腎の働きが弱くなると、ホルモンの失調などを起こしやすくなります。
又、腎の潤いや陽気も不足しがちになり、体内の陰陽バランスが崩れその結果のぼせや冷えといった不調が現れます。
漢方から見た更年期障害の基本タイプには以下の2タイプがありますが、更年期の身体ケアは腎の働きを整えることが基本です。
症状を参考に自分のタイプを見極めて、積極的に養生しましょう。
*腎陰虚タイプ(ほてりや寝汗が気になる腎の潤い不足タイプ)
全身の潤いの源である「腎」の潤いが不足すると、体内の臓器の働きにもその影響が現れます。
強く影響を受ける臓器の一つが、五臓の「心(しん)」。
火の性質を持つ心の潤いが足りないと、過剰な熱を冷ますことが出来ず、ほてり、寝汗、不眠、動悸などの症状が現れます。
また、腎は「肝」との関係が深いため、肝の働きが弱くなることも。
結果、目の乾燥や疲労、白髪などが発生しやすくなります。
養生の基本は、腎の潤いを十分に養うこと。
睡眠をしっかり摂り、潤いの多い食材を選ぶよう心がけ、体内の乾燥状態を改善しましょう。
気になる症状:ほてり、寝汗、不眠、動悸、腰がだるい、めまい、耳鳴り、物忘れ、脱毛、白髪、目の乾燥・疲労、皮膚の乾燥、便秘気味、月経周期が短くなる、舌の色が赤く苔が少ない
*腎陽虚タイプ(疲れやすい、冷えやすい腎の陽気不足タイプ)
「腎」の陽気は生命活動のエネルギー源。そのため、腎の陽気が不足すると、体内の臓器にも影響して働きが弱くなってしまいます。
影響を受けやすいのは、「肺」と「脾胃(ひい・胃腸)」。
肺の機能が弱くなると、息切れをしたり、風邪を引きやすくなったりします。
又、脾胃の働きが弱くなると、疲労感や食欲不振など感じやすくなります。
又、陽気には身体を温める作用もあるため、このタイプは冷えを感じやすいことも特徴。
腎の働きを高めて陽気を養い、身体を冷えから守るよう心がけましょう。
気になる症状:疲労感、倦怠感、息切れ、風邪を引きやすい、汗をかきやすい、腰痛、身体の冷え、むくみ、頻尿、月経周期が長くまばらになる、舌の色が淡く苔が白い。
症状や体質によってお薦めする漢方薬は異なりますので是非、一度ご相談下さい。
漢方で身体のバランスを整えて“不調が起こりにくい体質”をつくり、更年期を穏やかに乗り切りましょう!
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